傘を差して雨宿り
 莉帆は、ちょっと振り返って、何故かまだビルの軒下に居る蒼羽にぺこりと頭を下げ、交差点まで行った。

 赤信号で止まっているとき、キンコーンとスマホが鳴る。

 あ、なんかLINE入ったな、と思ったのだが、ちょうど信号が変わったので、

 家帰って読も、
と思い、莉帆は歩き出した。

 すると、

「今、開けろー!」
と後ろから声がした。

 振り返ると、蒼羽が交差点まで来ていた。

 変わりかけた信号に、急いで走ってきた蒼羽は息を切らし、莉帆に言った。

「このあと暇かっ?
 用事はないのかっ!

 ――と書いてあるから読めっ!」

 笑ってしまった。
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