心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

翌日 私は もう一度 理沙を呼び出した。

泣き腫らした 私の顔に 驚く理沙。


「あのね。すごいことが わかって。私 許せない…」

私は 前夜 栄太さんから 聞いたことを

理沙に話した。


「ちょっと。麻里絵の友達って。誰よ。」

鬼のような形相で 理沙は 身を乗り出す。

「先輩も そこまでは 聞けなかったらしいの。ねえ理沙 千佳じゃないよね?」

私は 恐る恐る 理沙に聞く。

「まさか。何で千佳が?」

理沙は 否定したけど。

「この前 理沙に会った時 私 千佳にも 電話したの。でも 千佳 繋がらなくて。出られなかった時って いつも 折り返してくれたよね?千佳。でも 千佳から 何も 連絡ないの。私 自分のことで 頭いっぱいで。深く 考えなかったけど。おかしいよね?」

私の言葉を 理沙は 神妙に聞いて

「千佳…?嘘でしょう?」


理沙は そう言って スマホを取り出すと

千佳に 電話を掛けた。


「千佳 出ない。」

そう言って 今度は ラインを送る理沙。


「どういうことよ!千佳だったら 許せない。」

理沙は 呟くように言ったけど。

私だって 許せないよ。


祐一君の家のハサミで

千佳を 刺したいくらい。



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