サヨナラなんて言わない。
「は!?お前、花火見らずに帰んの?」

「どうしたの?具合悪い?」

「嫌。そうじゃなくて…」

そう言いながら私は2人の手を取る。

そしてそのみのりと晴の手を重ね、握らせる。

「え!?お前何してんの!?」

真っ赤になる晴と動揺しすぎて言葉が出ない様子のみのり。

「2人さぁ、お互い言わなきゃいけないことあるでしょ?私に言ってもしょうがないでしょ?想いは相手に伝えないと!」

そう言って私は息を大きく吸った。

これが私の最期にできることだ。

「2人とも幸せになってね。」

笑顔でそう言い、走ってその場を離れた。

背後から私の名前を呼ぶ2人の声が聞こえる。

みのり、晴、もうこれ以上私に出来ないからね?

あとは頑張るんだよ。
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