サヨナラなんて言わない。
私と晴の間に少しの沈黙の時間が流れた。

授業中だからか、職員室の前だからなのか、いつもより私たちがいる廊下が静かに感じた。

その沈黙の時間を破ったのは晴だった。

「部活はどうするんだよ、バスケは?」

「あー、もうしないと思う。」

「しないって…お前あんなにバスケ頑張ってたのに…そんな簡単にやめんのかよ!?」

私は大きな、怒った声をあびせられた。

簡単?そんなわけないでしょ?

バスケどんだけ好きだったと思ってんのよ、唯一得意だったのよ?

特別上手と言うわけではなかったけど、それでも私にとっては誰にでも自慢出来る特技だった。

しょうがないじゃない、もう体が言う事聞かないのよ…

そう言って晴に思いをぶつけてやりたくもなったが…それはやめた。

知らないんだから、私が話してないんだからそう思うのは当然じゃない。
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