桜の色は、藍色の花…
十二月二十九日ー。
今日から、正月の準備に入る。
見世の前には、門松が、飾られたが、見世側に向かって、飾られた。
「(あれ…?)
(逆じゃないのかな…。)
(村の庄屋さんは、反対に飾ってたのに…。)
(あたしの覚え違い…?)」
あたしが、首を傾(かし)げていると、もみじが来た。
「かがりちゃん、どうしたの?
首傾げて…。」
「門松…、普通と違う気がして…。」
「えー?
昨年も、こうだったよ?」
「そうなの?」
「うん。」
「じゃあ、覚え違いかなぁ…。」
あたしは、首を傾げ、悩んでてた。
すると、後ろから、声がした。
「いいや。
かがりが、合ってるよ。」
おせんだった。
おせんは、門松の事を教えてくれた。
「吉原の門松は、通りを背にして、飾るんだよ。
向こうの見世も、反対に飾るから、背中合わせの門松って、呼ばれてるんだ。」
「あの…、何で、反対に飾るんですか?」
あたしは、質問した。
「この通りを太夫が、歩く時、門松に、引っかからないようにだよ。」
「そうなんですね。」
あたしは、納得した。
あたしともみじは、おせんに一礼して、その場を離れ、ゆきののとこに行った。
ゆきのは、生け花をしていた。
「わぁー…。
きれーい!」
もみじは、そう言って、喜んでた。
でも、ゆきのは、「納得いかない。」と言った顔…。
「姉さん、差し支えなければ、正面から見ても、よろしいですか?」
「え?
それは、いいけど…。」
あたしは、生け花の正面に座って、生け花を見てみた。
松を主に使った、大きめの生け花。
ただ、下の部分が、なんか寂しい…。
「姉さん、あたしが生けてもいいですか?」
「え?
それはいいけど…。」
あたしは、赤い葉牡丹を向かって、右側に添えた。
すると、一気に、華やかになった。
「かがり、すごいじゃないか!
いい出来栄えだ。
このまま、飾ろうかねぇ。」
ゆきのは、大喜びで、床の間に飾った。
あたしは、照れて、真っ赤…。
それから、あたしともみじは、玄関に行った。
「ねぇねぇ、かがりちゃん。」
「何?」
「この玄関にも、飾りが、凄いんだよ?」
「へぇ〜…。
楽しみぃ〜!」
あたしはともみじが、話している間に、ゆきのが、楼主に生け花のことを話し、瞬く間に、生け花の話は広がった。
その話しが、気に入らないのが、あおは。
太夫と格子太夫は、正月、自分の部屋の花を生ける。
局と切見世は、太夫か格子太夫に生けてもらうことになっていた。
格子太夫から、局に落とされた、あおはは、「他の人のも生けたい。」と言い出した。
楼主は、「他の人のも生けたい。」と言う事に、腕を組み、目を閉じ、考えた。
「おせん。
かがりを探して、連れて来い!」
「はい。」
おせんは、あたしを探しに来た。
「かがり!
ここに居たのかい!!
楼主が、お呼だよ。
早く、切見世の部屋に行きな。」
「はい!
(何だろう…。)
(何かしたっけ…?)」
あたしは、慌てて、楼主のところへ行った。
「かがりです。
お呼びでしょうか?」
「おう!」
楼主は、手招きした。
あたしは、近付き、楼主の目の前に座ってる、あおはの隣に座った。
あおはは、そんなあたしを、睨みつけた。
あたしも、負けじと、睨みつけた。
「かがり…。」
「はい。」
「おめぇさんに、頼みがある。」
「何でしょう…?」
「ここに居る、あおはと生け花対決をいてもらいてぇんだ。」
「え?!」
驚くあたしに対し、あおはは、怒(いか)り心頭。
「なんで、このあたしが、禿と勝負しなきゃ、いけないのよ?!
あたしは、格子太夫だったのよ?!
冗談じゃないわ!!
絶対に嫌よ!!」
あおはの怒(いか)りに、ゆきのが、口を出した。
「あおは。
かがりに負けるのが怖くて、そう言ってるの?
今のお前は、負けるのが嫌で、怒ってるように、みえるよ?」
「そ…、そんな事、あるわけないじゃないですか!!
相手は、禿ですよ?!
負けるなんて、ありえません!!」
「だったら、かがりと勝負できるね?」
「嫌とは言わせない。」と言った、笑顔で、あおはを見る、ゆきの。
「分かりました…。
太夫が、言うのであれば…。」
こうして、あたしは、訳が分からないまま、あおはと生け花勝負をする事になった。
「飾る場所は、玄関だ。
では、始める前に、二人以外の者は、全員出ろ!
残るのは、わしだけだ。」
ぞろぞろと、全員が、出て行き、部屋には、あたしと、あおはと、楼主だけになった。
「じゃあ、二人とも、好きに生けてみろ。」
あたしと、あおはは、返事した。
あおはは、ささっと、動き出したのに比べ、あたしは、目を閉じ、想像した。
そして、生け始めた。
先に出来上がったのは、あおは。
あおはのは、すっきりとした、生け花だった。
あたしのは、松、南天の実と葉、竹、葉牡丹を使って、豪華で、可愛らしく生けた。
生け終わると、今度は、あたしとあおはが、外に出て、みんなが、中に入った。
投票はすぐに終わった。
あたしとあおはは、おせんに呼ばれ、中に入った。
結果は、あたしの圧勝。
あおはは、怒って、自分の部屋に閉じこもった。
「(あたし…、勝っちゃった…。)
(いいのかなぁ…。)」
「やっぱり、こっちが、かがりだったのね色使いが、そうじゃなかと思ったのよ。」
ゆきのは、にこにこと微笑んだ。
「かがりちゃん、すごーいっ!!
こんなの生けれるなんて!!」
「ありがとう、もみじちゃん。」
あたしは照れた。
あたしの生けた花は、玄関に置かれた。
すると、局のすぐりが、話しかけてきた。
「かがり、あたしの部屋に飾る花を、生けてもらえる?」
「はい。
いいですよ。」
あたしは、すぐに、すぐりの為に、花を生けた。
すぐりは大喜び。
「喜んで頂き、ありがとうございます。
とても、嬉しいです。」
あたしは、微笑んだ。
「ありがとう。
じゃあ、もらって行くね?」
「はい。」
あたしは、すぐりに、頭を下げた。
「かがり。
太夫と格子太夫に混ざって、全部の部屋の花を生けろ。」
楼主に言われた。
「分かりました。」
あたしhs、了承した。
了承したものの、局の部屋が、あまりにも多くて、あたしは疲れた。
格子太夫と太夫も、疲れたと言った顔をしていた。
そこに、禿が、お茶を持ってきてくれた。
「わー…。
ありがとう!!」
もみじは、優しい顔をして、微笑んだ。
「どういたしまして。」
「ちょうど、お茶が欲しかったの。」
「あれだけ、生ければ、疲れて、お茶が欲しくなって当然だよ。」
「ありがとう。」
あたしは、お茶を飲んで、また、花を生け始めた。
「(局の部屋、多過ぎ…。)
(姉さん達に、恥をかかせる訳にもいかないし…。)」
あたしは、一所懸命生けた。
局の部屋全て、生け終わると、禿が、おにぎりを持ってきてくれた。
「はい。
かがりちゃん。」
「ありがとう。
お腹、ぺこぺこ…。」
「お疲れ様。」
「ありがとう。」
あたしは、おにぎりをもぐもぐと食べた。
おにぎりを食べ終わると、切見世の生け花を生け始めた。
太夫と格子太夫は、自分達の部屋の花を生けた。
あたしは、切見世の花を生け終えた。
全ての部屋生け花を終えると、楼主は、全員に、言った。
「花は、それぞれの部屋に、持っていったな?
みんな、お疲れさん!!」
また、おにぎりが、振舞われた。
「美味しい〜!!」
「かがりちゃん。
本当にお疲れ様。」
「ありがとう。
もみじちゃん。」
おにぎりを食べ終え、それぞれの部屋に戻って、ぐっすり眠った。
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