桜の色は、藍色の花…
 一週間後ー。
 ふじは、早朝に起き、着替えて、布団を片付け、おせんの部屋に行った。
 「おはようございます。
ふじです。
失礼しても良いでしょうか?」
「ふじかい?
入りな。」
「はい。
失礼します。」
 ふじは、おせんの部屋に入り、おせんの正面に座った。
 「ふじ。
今日で、十四になったね。
おめでとう。
早速、今日のことから、せつめいしようかね。
まずは、名前。
お前は、今日から、ももだ。
いいね?
それから、仕事は、振袖新造として、市川の下で、働いてもらう。」
「はい。」
「良い返事だね。
後は、お前の後ろの襖を、開けてごらん。」
「はい。」
 ももは、襖を開けた。
 そこには、綺麗な振袖と小物が、沢山置かれていた。
 「おせんさん…。
これは…。」
「着物も小物も、かがりと市川が選んだんだ。
お金は、市川だよ。
後で、ちゃんと、お礼を言うんだよ?」
「はい。」
「じゃあ、これから、新造の部屋に案内しよう。
引っ越しは、自分でするんだよ?
今まで着ていた、着物は、次の子に着せるから、そのままにしておいておくれ。」
「はい。」
「じゃあ、行こうか。」
「はい。」
 おせんとふじは、新造の部屋に行った。
 「おはよう。
少し早いけど、起きてくれるかい?
今日から、振袖新造になった、ももを連れて来たんだ。」
 すると、襖が開いた。
 中に入ると、新造達は、着替えていて、布団も片付けられていた。
 「なんだい。
今日は、早いじゃないか。」
「新しい子が来るってことで、早起きしました。」
 と、小梅が言った。
 「そうかい。
じゃあ、もも、自己紹介しな。」
「はい。
今日から、ももという名で、振袖新造として、働くことになりました。
どうぞよろしくお願いします。」
 挨拶が終わると、新造達から、拍手が送られた。
 それから、ふじは、引っ越しをし、振袖に着替えた。
 「その着物いいわね。
市川姉さんが、選んだの?」
 そう声をかけたのは、かすみ。
 「市川姉さんだけじゃなく、かがりもです。」
「かがりが、選んだの?!
あの子、凄いわね…。
あっ、もう、あたし達、同じ新造だから、敬語じゃなくていいよ。」
「はい。
でも、今まで、姉さんと呼んでいて、敬語だったので、慣れなくて…。」
「それもそうね。
じゃあ、ゆっくり直していこう?」
「はい。」
 それから、ももは、姉さん達に挨拶と、禿にも挨拶をし、あたしのところに来た。
 「かがり。
ふじこと、ももだけど…。
ちょといかい?」
「はい。」
 あたしは、鍵を開け、ももを通した。
 「かがり。
こんな良い着物を選んでくれて、ありがとう。」
「いいえ。
姉さんなら、似合うと思って…。
差し出がましい行いだとは、思いましたけど、選ばせていただきました。
気に入ってもらえて良かったです。」
「全ての着物を気に入ったわ。
ありがとう。」
 それだけ言うと、ももは、食堂に行った。
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