砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
愛おしそうにアルスを抱きしめるアベル。
安心しきって眠るアルス。
二人を見ているとこの上なく幸せな空気につつまれ、カインの胸も暖かくなる。

ーーこんな時間がずっと続けばいい。

思わずそう願っていた。だが、カインはあわててその望みをかき消す。

ーー望んではいけない。望みや夢など、叶うことはないのだ。
ならば、最初から望まなければいい。

カインの足元に片付け忘れた積み木が一片落ちていた。

これ一つではただの木片。何にもならない。
私も同じ。一人では無力。

カインは積み木を軽く蹴飛ばした。積み木はコロコロと転がり、壁に当たって倒れた。


< 121 / 246 >

この作品をシェア

pagetop