砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
正妃が王子を産んだわずか十日後。


深夜、アベルとカインは内密に国王ディアルドの私室に呼ばれていた。


念願の王子が誕生したというのにディアルドは青ざめて憔悴しきった様子。
アベルもカインもこれは何かあると構えた。王弟であるアベルだけでなくカインまでこの場に呼ばれたことも、怪しかった。


「兄上、どうされました?」

口火を切ったのはアベルだった。

「最悪の事態だ。
今回の出産でもう正妃の体は限界で、新たな子は望めないと言われた。
しかも、王子はあまり状態が思わしくない。長くは生きられないだろうと」

「…!」

アベルが息を飲む。

「そこでだ。
これは内密にしてほしいのだが。
サラに正妃の代わりに子を産ませ、その子を正妃の子として公表しようかと思っている」

フォトキナ王国では正式な妃の子でなければ公に世継ぎの子供としては認められない。

子供のすり替えなど、神に背く大罪だ。

だか、性別を偽り男としてしか生きることの許されない罪を背負うカインには、ディアルドの気持ちはよくわかってしまう。

大罪を犯してまでも自分の子を王位に。
しかも寵愛するサラの子を。
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