砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
ーー身を慎み、静観せよ。安閑たれ。

そう言うのならば、いっそ誰にも会わずに済むように幽閉でもすればいい。どうせ一生、罪を背負っていくならば、中途半端な病弱ではなく床から起きれないほどの重病ということにして閉じ込めておけばいい。

カルヴィンはそう願うのだが、それでは、オルディン家は衰退してしまう。
ニックスの望みは、現状のまま、貴族の頂点にあるまま、一族にこれから産まれる健康で正統な男子に次を担ってもらうことなのだ。カルヴィンはそれまでの『つなぎ』としての存在。

カルヴィンの脳裏に、アルベルトの太陽のような笑顔が浮かび、慌てて打ち消す。
あの笑顔をもっと見ていたいなんて、考えてはいけない。近づきすぎてはいけない。


何も望んではいけない。
望まなければ、何も起こらない。
カルヴィンの12年間の人生で達した、心の境地だった。







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