砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「アルベルト王子か」


天井からひょっこりと出した顔が脳裏に浮かぶ。

あまりに屈託のない笑顔にカルヴィンは一瞬、思考を奪われた。
あんな笑顔に出会ったのは初めてだった。明るく輝く、まるで太陽のようだった。
アルベルトの行動は読めたが、あの笑顔は想定外で、カルヴィンの胸に焼きついた。

ーー大丈夫。どうせ、今までの目付け役と同じ。すぐにお役御免になる。

凡愚な王子と名高いアルベルト。
だが、本当に平凡で愚かなのは自分の方だ。

オルディン家の後嗣である以上、王室との交流は否めない。
だから最小限で、深く関わらない。


長くフォトキナ王国貴族の頂点にあるオルディン家。
オルディン家の後嗣は、現在カルヴィンただ一人。そのカルヴィンにもしもの事があれば、天下のオルディン家も血統が絶えてしまう。現当主の父ニックスにとって、このことが最も頭を悩ませている事案だった。


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