砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
カインの気配がなくなり、アベルはふうと大きなため息をついた。

ーー結局、愛されているなんて思い込んでいたのは俺だけか。

アベルはやりきれない思いを抱きながら、ごろりベッドに体を投げ出した。

「カイン…アイツ…」

ベッドにわずかに残ったカインの温もり。その温もりの一部がわずかに濡れている。カインの頭があったあたりだ。

淋しいとか、悲しいとか言えないカインの涙。めったに見せることのないその涙が、思いの全てを物語っていた。


ーー離れたくない。
あなたのいない人生なんて考えられないーー


アベルの瞳からも涙が一筋流れ、カインの涙の上に落ちて行った。


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