砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「アルス。お前にオルディン公爵位を譲る」

カインは、淡々とそう告げた。

「早すぎます!僕はまだまだ未熟者です。学ぶことだらけです」
「大丈夫。手伝うから」

アルスは絶句して、カインを見つめた。

アベルがブリュオーに行ってからカインは病的なほどに痩せた。血色も悪い。言葉数も減り、笑うことがなくなった。
いつも分厚い書物を片手に勉強している。
最近では庭で育てている植物のことを熱心に研究していた。植物を前にしているときだけは、なんだかいきいきとして見えた。


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