砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「時間がないんだ。理由は二つ。
ひとつは、国境近くで起きている隣国との小競り合いだ。
なぜか武器を持たないはずの農民たちが自ら武器を手に戦っている。だが、扱い方の知らぬ彼らがいたずらに武器を振り回しているから無駄に相手を刺激し、事態は悪化する一方だ」
「知ってます。国境警備隊が統率を図ろうとしても、農民たちは自分の土地は自分で守ると息巻いていて手に負えない。
国境警備隊から応援の要請も来ているけれど、国王陛下が事態を重く見ておらず、これ以上の兵力を割くに至らないと要請を却下されました。
今の国王陛下は世継ぎのことで頭が一杯で、国内の現状を捉えきれていない。
陛下にこれ以上の進言は難しいと判断した師レオポルトが、アルベルト王子を通じてブリュオー王国から武力援助を受ける方向だと言っていました」
まだ八歳ということを忘れそうなくらい、アルスは的確に事態を把握していた。
ーーさすがはアベルの血を引く子。これならば安心して任せられる。
アルスの姿の向こうに、忘れられない人の面影を見つけてカインはわずかに微笑み頷いた。
ひとつは、国境近くで起きている隣国との小競り合いだ。
なぜか武器を持たないはずの農民たちが自ら武器を手に戦っている。だが、扱い方の知らぬ彼らがいたずらに武器を振り回しているから無駄に相手を刺激し、事態は悪化する一方だ」
「知ってます。国境警備隊が統率を図ろうとしても、農民たちは自分の土地は自分で守ると息巻いていて手に負えない。
国境警備隊から応援の要請も来ているけれど、国王陛下が事態を重く見ておらず、これ以上の兵力を割くに至らないと要請を却下されました。
今の国王陛下は世継ぎのことで頭が一杯で、国内の現状を捉えきれていない。
陛下にこれ以上の進言は難しいと判断した師レオポルトが、アルベルト王子を通じてブリュオー王国から武力援助を受ける方向だと言っていました」
まだ八歳ということを忘れそうなくらい、アルスは的確に事態を把握していた。
ーーさすがはアベルの血を引く子。これならば安心して任せられる。
アルスの姿の向こうに、忘れられない人の面影を見つけてカインはわずかに微笑み頷いた。