砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「アベルが国王になれば、新たな世継ぎ問題が生まれるだろう。婚約者のアイリーン王女はアルスと同じ八歳。子供を産めるまでまだ数年を要する。
もしもその数年の間にアベルに何かあれば。アベルはアルスに王位を譲りたいと思うかもしれない。
ならばその前に、『カルヴィン・オルディン公爵』は消えておいたほうがいい」

フォトキナの法律では、子供は自分の親の後を継ぐことしかできない。『カルヴィン・オルディンの息子』のままでは、アルスはオルディン家を継ぐことしかできないのだ。

だが、一人前の成人ならばその規制はなくなる。
報奨として爵位のある家門ごともらい受け、二つの家門の名を名乗ることも珍しくない。
息子が成人していれば家門を一つあてがって継がせることもよくある。

だがアルスが成人となる十五歳までにはまだ七年もある。

法律によれば先代であるカインが亡くなれば、アルスがオルディン公爵を継ぐことができる。公爵家を継ぐことで年齢が足りなくても特例として成人扱いとされるのだ。

つまり、アルスが『カルヴィン・オルディンの息子』ではなく『アルセウス・オルディン公爵』ならば、アベルはアルスを指名して王位が譲れるのだ。アベルに跡継ぎの男子が出来れば、その子が成人したらアルスから王位を譲ることもできる。
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