砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「そして、もうひとつ。
君に爵位を譲りたい最大の理由。
アルス。リチャード王子の状態はわかっているね」

リチャードは正妃の産んだ世継ぎ王子だ。体が弱いばかりか知能にも問題があり、三歳になる今でも全く言葉が話せない。ちょっと外へ出るだけで発熱してしまうので、外出すらままならない状態である。

それでも、リチャード王子はアルスのことが好きなようで、アルスが彼の部屋を訪問するとニコニコと笑う。アルスと積み木をしたり、絵本を見たりする時間が大好きなのだ。アルスも自分の弟のように可愛がっている。

本来ならば、いとこの間柄。相通じるものもあるのかもしれない。

「国王陛下への不満が徐々に高まっている。だが、リチャード王子が国政を担うことは現実的ではない。
もう三年も経つというのに、サラには妊娠の兆候さえない。
このままでは、小さな綻びから国家転覆などという事態も避けられない。
師レオポルトはブリュオーからアルベルト王子を呼びもどす、とまで言っている」

あれほど仲のいいディアルドとサラに子が授からないということは、やはり、神が見ているのだと思う。
妾腹の子を正妃の子として育てようなどと神をも冒涜するような行為は許されないのだ。
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