砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命



「あぁ、アルベルト。仕事中に悪いね」

笑顔で迎えてくれるラインハルト四世。その足元には縄で拘束された男がいる。拷問されたのか、衣服はボロボロで傷だらけだ。

「ダイジョブ、です。
あれ、どうした?ドゥーエ伯爵?」

アベルは笑顔でそう答えながら拘束された男の顔を確認した。

「陛下、私は無実です。
そうだ、きっと犯人はこの男です。
フォトキナの愚王子が私を貶めたのです!」

「陛下、ドゥーエ伯爵、おおきなこえで、なにいってる?わからない」

なんのことかさっぱりわからないと、アベルは首をかしげた。アベルは対外的にはいまだにカタコトでしか話せないフリをしている。

ラインハルトはアベルに向けて、言葉を区切りながらゆっくりと語った。

「実は武器商人と不当な取引をし、見返りに大金を手に入れた者がいるのだ。
捕らえた武器商人の話だと、その男は『フードで頭を覆っていて顔はよく見えなかった。ちらっと見えた髪は金色。ブリュオー語がカタコト』だったようだ。
ブリュオーの言葉が上手く話せないのに、百戦錬磨の武器商人と上手く取引できるなんて不思議だな」

「ですから私ではありません!ブリュオー語がカタコトで、金髪で、フォトキナに精通して武器を流せる。
そんなのはそこにいるフォトキナの愚王子しかありえない」

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