砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
そんな彼がアベルに王座奪還を提案してくる。
だがアベルは王位に興味がない。ラインハルトのように国を守り繁栄させられる能力など自分にはないと思っている。
カインがそばにいれば王位に就くことは可能かもしれない。カインが王妃の座につくなら考えてもいいが、それは不可能だ。目立たぬようにただ生きるだけのカインはそれを望まないに違いない。

「私は国王の器ではありません。私は許嫁さえ攻略できない愚王子ですよ。
アイリーン王女は私のことを『おじさん』と言って毛嫌いしてます。昔から女性にはそれなりにモテたほうなんですけど」
「まだ子供だ、許してやってくれ」

ラインハルトはアイリーン王女を溺愛している。その愛娘との婚約はこの国でのアルベルトの立場を優位にするため。
ただ、親子ほども離れた二人を本気で結婚させる気はないようだ。アイリーン王女が年頃になるまでにフォトキナとの関係を婚姻以外の方法でより強固にするつもりらしい。

「私は自分に今できることをするだけです。
陛下。国境の現状を確認して、戦を収束させてきてもよろしいですか」
「本来ならそれはフォトキナ国王がすべきことだ。だが、我が国の貴族が絡んでしまったからには、こちらからも援軍を送らねばならないな。
アルベルト、貴殿に指揮権を与える。あとは任せた」


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