砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「カルヴィン・オルディンは亡くなりました」

「あぁ、わかってる。おそらくは成人前のアルスを成人とするために亡くなったことにしたのだろう。
アルスを『カルヴィン・オルディンの息子』ではなく『アルセウス・オルディン公爵』とするために。
お前は俺が王位につくと考えたわけだ。だからアルスを王太子に指名できる可能性を作った」

アベルには言わなくてもカインの死の真相がわかったようだ。
側にいた頃と変わらず、言わなくても考えが伝わったことがうれしかった。

「一度出した死亡届を撤回するわけにはいきません。
殿下が玉座に。隣にはアイリーン王女。そのかたわらにアルスをおいてください。
まだ幼くとも、知識だけはこの国の誰にも引けを取りません。どうか、アルスのことをよろしくお願いいたします」

いっぺんに言葉を発すれば苦しい。
いや。
この苦しさは怪我のせいじゃない。
想像の世界でもアベルの隣に他の女性がいることが苦しいのだ。

ーーいっそ、死んでしまえばよかった。最後にアベルを見つめて、あのまま幸せを感じながら死んでいれば、こんな苦しい思いもしなくて済んだ。
アベルがアイリーン王女と幸せに暮らす未来なんて見たくない。

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