砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「アベル、早計です」
「お前の母を否定されたのだぞ?」
「師レオポルトが反対なさるのは当然のことじゃないですか。きちんと納得していただけるように、説得するべきです」

レオポルトは二人のやり取りを見て、カルヴィンの在りし日を思い出していた。
冷静なカルヴィンがアベルをたしなめたり鼓舞したりしながら、彼を正しく導いていたあの頃を。

「アルスはカルヴィンによく似ているな」
「本当ですか!?師レオポルトにそう言っていただけるとうれしいです!」

満面の笑みを浮かべ、ぴょんと跳ねるように喜ぶアルスの表情にレオポルトはふと既視感を覚えた。

カルヴィンは無表情で喜怒哀楽を表に出すことがなかった。うれしいときはうれしいとはっきり意思表示をするのはアベルのほうだ。
銀の髪。オルディンブルーの瞳。見た目にも間違いなくカルヴィンの息子だというのに、時折見せる仕草やそもそも彼の持つ雰囲気が幼い日のアベルを思い起こさせるのはなぜだろう。

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