砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「師レオポルト。母に会っていただけませんか?
反対されるお気持ちはわかります。母と会ってそれでもアベルにふさわしくないとお考えになられるのでしたら、僕も師レオポルトに従います」

「お、おい、アルス!お前まで何を言い出すんだ」
「アベル、正妃にと望まれるなら母をいつまでも隠しておくことはできません。一人で守ろうなんてかっこつけるのは、なしですよ。
フォトキナに戻られるなら師レオポルトの協力は必須です。師が反対されるなら、きっと母も納得してくれます」

アベルは師レオポルトを一人で説得してから会わせようと目論んでいた。レオポルトがカレンとカインが同一人物だと知ったとしても結婚さえ認めていれば押し切れると思っていたのだ。
だが、アルスの言う通りだ。実際に会って話をしたほうが話が早いかもしれない。

「師レオポルト、カレンを紹介させてほしい」
「わかりました。まずは、一度お会いしてみましょう」

アルスが先ほどまで控えていた隣室のドアを開け、アベルはそこで待っていたカレンの手を取った。

「話は聞いていたか、カレン。師レオポルトを説得できなくてすまない。不甲斐ない俺を許せ」
「大丈夫。覚悟はできています」



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