砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「カイン、大丈夫か?」

ニックスの言葉を聞いた途端、体を強張らせていたカインにアベルが心配そうに声をかける。

「…はい。大丈夫です」

そう答えながら、運ばれるニックスを追いかけるカインからは血の気が引いていた。


ーー身を慎み、静観せよ。安閑たれ。
己が身は、砂上の城と心得よーー


ニックスの言葉が胸に突き刺さる。
つまりは今日のようにアベルの供とはいえ、表舞台のしかも重要な場面で目立つようなことをするなと、いうこと。
砂上の城。言い得た表現だ。砂の上に建つ城など、いくら立派だろうが、所詮足元はもろく崩れやすい砂。長く建っていられるものではない。

ニックスのその言葉は、結局遺言となる。
彼はそのまま息を引き取った。

そして、フォトキナ王国筆頭貴族オルディン公爵家に新当主、カルヴィン・オルディン公爵が誕生することとなったのだ。


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