砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「では、閉会しよう」

ディアルドの声に議員らは一斉に立ち上がり、彼に向かって深々と頭を下げた。


その直後だった。ガタン、と椅子の倒れる大きな音がした。
ディアルドのすぐ隣、カインの父ニックスがその場に倒れたのだ。


「オルディン公爵!」
「父上!」


ディアルドが驚いて抱き起こそうとしたが、それよりも早くカインが駆け寄った。


ニックスは、ゆっくりとまぶたをもちあげる。だが、顔色はまるで蝋のように真っ白でどう見ても危険な状態だった。


「どうやら…オルディンも、世代…交代の…ようだ」
「何を気弱なことを。しっかりして下さい、オルディン公爵!
誰か、早く、医者を!」

アベルがカインの傍らで声を上げる。その周りでは他の貴族議員らが同じようにニックスを励ます声をかける。
だが、ニックスは、骨と皮ばかりの手でそれらの声を遮った。

「アルベルト王子、皆さま、どうか、我が息子カルヴィンを、よろしく、お願い、します」

ニックスはそれだけ言うと、ありったけの力を込めてカインを抱き寄せ、その耳元で一言だけ呟くと意識を失った。

「すぐに医者が来る。公爵をこちらに!」

ディアルドのテキパキとした指示でニックスは別室に運ばれていく。


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