砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
昨夜、カインの姉で次女のアンジェが産気づいた。
ニックスが生前、男子ならオルディン家で引き取ると期待していた子供だった。

「アンジェ様によく似た可愛らしい女の子、だと連絡がありました」

「…そうか」

恐らくは望んでいた男子ではないと予想はしていたが、カインは落胆が隠せない。

たぶん、カインが生まれた時の父の気持ちはこんな感じだったのだろう。
落胆。焦り。絶望感が心を占領し、どす黒く染めていく。

「…何故、なんだ?この世には男と女がいて、生まれる確率は二つに一つ。それなのに、何故女ばかりなんだ?
姉上達の誰でもいい。早く、早く男子を産んでほしい。私は…もう、息が詰まりそうだ」

ダン!と机を拳で叩き、血を吐くような苦しいカインの言葉に、モリセットとモレーは顔を見合わせて俯く。

カインの背負う重い宿命。この世でその事実を知るのは、もはやモリセットとモレーだけとなった。
共に罪を背負っていく覚悟はとうに決まっている。
それでもカインの計り知れない苦しみに寄り添うしかできないことが歯がゆかった。


困り果てた様子のモリセットとモレーを見てカインははっと我にかえる。

「取り乱してすまない。
こればかりは、自分の力だけではどうにもできないな。性を決めるのは神の仕業だ」

カインは、ふうっと息を吐き心を落ち着かせた。
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