砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
カインの衣服もずぶ濡れで肌に張り付き、その体の線をクッキリと浮かび上がらせていたのだ。
いつもならいかなるときも慎重で隙を見せないカイン。だが今はアベルの為に急いでいて、自分の状況に気づいていない。
雨天の薄暗さの中、ほのかな暖炉の火のあかりでもはっきりわかる。
「カイン、お前」
「…!?」
アベルの視線を感じ、カインはやっと己の体の状況に気づきとっさに彼に背を向けた。
いつもは体型を隠す為に厚いコルセットを着用していた。だが、邸に引きこもっている最近は他者に会わないため着けていなかった。
今日は突然のアベルの訪問に気がはやり、コルセットの着用を忘れていたのだ。
アベルは背を向けたカインの肩に手を置くと強引に自分の方に向け、その濡れた衣服を力任せに裂いた。
目の前には貧弱だが剣術で程よく筋肉のついた男の肉体があるはずだった。
だが。
暖炉の炎のゆらめきに浮かび上がったのは。
「お前……女…だったのか」