砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
久しぶりに訪れた古城。最近は乗馬をする余裕もなかったため、最低限の手入れのみしかされていない。


「うーひどい雨だな」
「天気の変化に気づかずすみません。今、拭くものを用意します」

全ては自分達でやらなくてはならない。

「じゃ、俺は暖炉に火を入れよう。寒くてたまらない」

アベルも暖炉に火を起こし薪をくべた。
部屋は暖炉の炎でほのかに明るくはなったが、暖かくなるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

「ハックション!
これは脱がないとダメだ。びしょ濡れだ」

濡れて肌に張り付く衣服を脱ぎ捨て、アベルは暖炉近くの椅子に衣服を引っ掛けた。



「大丈夫ですか?風邪をひくといけません。これで拭いて下さい」

カインは荷物として持ってきていた汗拭き用の綿布を差し出した。わずかに湿ってはいるが、体を拭くには支障がなさそうだった。


「あぁ、ありがとう。どうせ夕立だ。すぐに止む…」

アベルはカインから綿布を受け取ろうとして、その目に映ったものに言葉を失った。

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