砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命

カインは無抵抗でされるがままになっていた。

床に敷かれた豪奢な毛足の長い敷物からは、ホコリとカビの匂いがした。

アベルの手が乱暴にカインの体を暴いていくが何も感じなかった。

いいしれぬ虚無感がカインを制していたのだ。

唯一の友といえるアベルを裏切り続けてまで守ってきた嘘をきっと彼は許さない。
アベルの性格は誰よりわかっている。


全ては終わったのだ。


女であることを望んでくれる人はいない。自分が女として生まれてきたことは罪だから。

常に男らしく振る舞う努力をしてきた。努力の甲斐もあって、月に一度の体調不良の時以外は、自分が女であることも忘れていたのに。



「……!!」


虚ろだったカインはその瞬間、我に返った。
あまりの痛みから逃れようと無意識にもがくが、アベルにガッチリと掴まれていて身動きが取れない。


痛みと共に、自分の中にアベルを感じた。


改めて思い知る。
自分は女で、アベルは男なのだと。
どれほど偽っても努力しても、男にはなれないのだと。

その事実を突きつけられ、カインの瞳から涙が一筋こぼれた。

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