砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「待てカイン!!
お前、まさか…死ぬつもりか?」

慌ててカインの腕を掴み、その細い体を抱き寄せる。
カインの体は、ゾッとするほど冷たかった。

「皆を欺いてきた私の罪は国家反逆罪。
斬首刑です。もちろん、オルディン家は断絶。
ですが、私は伝統あるオルディン家当主。最後だとしてもオルディンの名を汚すわけにはいきません。
体の真実が露見しないように、この身を焼いてしまいます。
あなたを欺いていた私の願いなど聞くいわれもないことはわかっています。
ですがアベル、最後の温情を私にかけて下さい。
どうか、オルディン家をよろしくおねがいします」

アベルさえ口をつぐんでいれば、露見しない。わかっているくせにカインはアベルに口どめをしない。それどころか、自ら死を選ぶとは。

全てから逃れ、解放されたい気持ちは、アベルにも痛いほどよくわかる。


だが。



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