砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
翌日、訪れたアベルの部屋は、以前にも増して雑然としていた。

「あぁ。カルヴィン。よく来てくれた。これで私も安心だ」

師レオポルトは手放しで喜ぶ。自身の仕事も忙しくアベルのことにまで手が回りきらなかったのだと言う。

山のような仕事を師レオポルトから引き継ぎながら、カインは呆れた。本来ならアベルがやらなくてもいいような雑務が多すぎる。何の為に貴族院やら大臣やらを据えているのかわからない。


「あぁ、そうなんだ。アベルが何でも引き受けてしまう。あらゆる事に目を通さないと気が済まない。適当に見せかけて実は完璧主義。
まぁ、その辺りの性格はカルヴィンなら言わなくても分かっているな。
とにかく、後のことは頼むよカルヴィン。お前がアベルの手となり足となり守ってくれ」

「師レオポルトは、いつも大袈裟だなぁ。大丈夫さ。俺が本当は怠け者だってことも良く知ってるだろ?最初くらいは頑張るだけさ。心配してくれてありがとう。今日も忙しいんだろ?もう行っていい。
さ、カイン。何から始めようか」


< 63 / 246 >

この作品をシェア

pagetop