砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
ーー何を考えているんだ。
アベルと自分の間にある感情は友情。そして絶対の信頼。それが全て。それ以外はありえない。
先ほどの『好きな女』という言葉に惑わされるな。アベルが好きになる女性はこれから現れる。

この女の体は、アベルにとって単なる欲のはけ口に過ぎない。特別な思いなどない。ただ近くにある都合の良い玩具。それだけ。
自分自身でも持て余している体。玩具がわりになるならそれで構わない。

カインは胸の痛みを堪えながら静かにアベルの部屋を出た。



私は、カルヴィン・オルディン公爵。
我が身は、砂上の城。
アベルは、時折城を訪れる旅人。

旅人よ、決して住み着くなかれ。
いつ崩れ落ちるかわからぬ砂上の城なれば。
砂に埋もれ、忘れ去られる運命は、我が身ひとつで充分……





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