砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「申し訳ございません。お言葉に甘えさせていただきます」

カインは最後の力を振り絞ってサラと国王陛下に挨拶をすると、アベルに手伝ってもらいながらオルディン家の馬車に乗り込んだ。

体が鉛のように重く、言うことをきかない。
これほどの倦怠感は珍しい。

「アベル、後をよろしくお願いします」
「任せろ。このところ仕事量が多かったからな、疲れたんだろう。ゆっくり休め。こっちの仕事は師レオポルトに頼むから大丈夫だ。体をしっかり治せよ」


心配そうなアベルに小さくうなづいて見せる。


走り出した馬車の中で、カインはゆっくりと目を閉じた。


女性であることを隠すために病弱だとうたっているが、実際のカインは風邪もひいたこともない。何しろ医者にかかることが出来ないのだから、体調管理には万全を期している。


ーー食事や飲み物に毒でも盛られたか?いや、今日はほとんど何も口にしていない。


発熱の予兆か、単なる疲労か。
いずれにしても休養が必要だ。
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