砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「オルディン公爵!?」


歩き出そうとした途端、世界がぐらり、と揺れた。
今まで座っていた椅子の背もたれをとっさに掴んだが、椅子ごと倒れてしまった。


「カイン!大丈夫か?真っ青じゃないか」

駆け寄ってきてくれたのはアベルだ。

「祝いの席で申し訳ございません」

カインはかろうじて足に力を入れて立ち上がる。だがふらついてしまう。そんなカインの華奢な体をアベルが支えた。

来賓たちの目がカインのことを見ている。

ーーなんとかこの場をとりつくろわなければ。
あぁ、でも、これでロシェ侯爵には体の弱い男だと、大して使い物にならないと印象つけられたか……?

なんだか頭がぼんやりして、それ以上の思考回路は遮断され、何も言葉が浮かばない。



「弟は昔から病弱で…今日はわたくしの為に無理をして出席してくれました。
カルヴィン、無理をさせたわね。
わたくしなら大丈夫、陛下もアルベルト王子もいらっしゃるから。今日はもう、帰って休みなさい」


そんなカインをフォローしてくれたのは、なんと、サラだった。

いつの間にか、頼もしくなった。
元気で無鉄砲で、自分に正直なだけが取り柄だった姉。愛されることでついた自信が、彼女を内側から輝かせ、強くしている。


ーーもう、大丈夫だ。サラは、もう……


< 87 / 246 >

この作品をシェア

pagetop