幸せにしたいのは君だけ
話をしなくては、疑問をきちんと尋ねなくては。

冷静な自分が心の中で叫んでいる。

そう思う一方で、諦めにも似た気持ちを抱いている自分がいる。


噂を鵜呑みにして信じているわけじゃない。

あくまでも噂は噂。


だけど、どうして国内勤務の話やクリスマスの話を教えてくれなかったの? 

本当に自身の会社を継ぐの? 

そもそもなぜ急に同棲だなんて言うの?


以前に感じた不安と不信感。


私は信用されていない? 

なぜいつも肝心な話をしてくれないの?


私では澪さんの代わりにはなれないと、急速な距離の縮め方を今頃になって後悔しているのかもしれない。

……だって私はあんなに切ない目を向けられたことはない。


彼を好きな気持ちは誰にも負けない自信はある。

だけど今の私は不安と猜疑心がいっぱいで、立場の違いにだって圧倒されてしまっている。

小さな出来事にさえ嫉妬してしまう。

私だけを見てほしいと願う、狭量な自分。


ズケズケ意見を言う私を好きになってくれたとはいえ、どこまで彼の心に踏み込んでいいのか、気持ちをぶつけていいのかわからない。

こんな情けない、臆病な恋なんてしたくなかった。

ただ私だけを一番に好きでいてくれる人がほしかっただけなのに。
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