幸せにしたいのは君だけ
二月に入ってすぐ、メールを送信した。


【しばらく引継ぎで忙しくなるので連絡できません】


色々頭を悩ませて、送った簡潔な文章。


【大変だな。無理しないように】


翌日に返ってきた、素っ気ない励ましの文面。

その反応に乾いた笑いがこぼれた。


込み上げるのは苦い気持ち。

自分から連絡をしないようにして、気持ちを落ち着けて冷静になるんだと思っていたのに。

あっさり受け入れられて、落胆するなんて。


やっぱり私の存在なんてあの人にとって、それほど大きくない。

わかっていたのに、改めて思い知らされた気がした。

きっと私よりも何倍も恋愛経験が豊富な彼は私の行動や気持ちなんてお見通しなのかもしれない。


試したかったわけじゃない。

反応を見たかったわけじゃない。


でも連絡できない、と私から告げたのは初めてなのだ。

もう少し焦ったり、事情を問いただしてくれるのではないかと淡い期待は抱いていた。


……こんな試すような真似をするなんて、嫌な女だ。

圭太さんといると、どんどん自分の嫌なところが出てきてしまう。

弱い部分、ずるい部分、情けない部分。


……なんだか疲れてしまった。


恋ってこんなにつらいものだった?

胸が痛くてヒリヒリするものだっただろうか?

もっと楽しいものじゃなかった?


ふう、と重たい息を吐いた。
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