幸せにしたいのは君だけ
「仕事が忙しいから、俺に連絡できないんじゃなかった?」

「え……」

「なのに、なんで彼と話してるんだ?」


唐突に尋ねられた内容に、瞬きを繰り返す。

どうしてあなたがそんなにも苦しそうな表情を浮かべているの?


「……回りくどいのは苦手だから、はっきり言う。俺が嫌になった? だからあんなメールを送ってきたのか?」

「どういう、意味?」

「最近、佳奈の様子がおかしいと思ってた。俺に言いたいことがあるのに、それを無理に我慢しているような気がしてた」


彼の表情がどんどん険しくなる。

まるで睨みつけられているような気分になる。

それでいてその目はひどく悲しそうに見えた。


「気づいて、たの?」


私の中途半端な心の葛藤に。

みっともない嫉妬心に。


「……アイツが原因?」


アイツ?


「アイツを好きになった?」


彼の目が、私を通り過ぎて背後を見つめている。

さっきの益岡さんと似たような光景だ。


「アイツって……」

「さっき話してただろ、笑顔で」


今、話してた人って……益岡さん?


「急になにを言いだすの?」

「今の佳奈は受付担当じゃないから、来客対応なんてほとんどないはずだろ。今は昼休みもとっくに過ぎている時間帯だ。なのにどうしてあの男とふたりきりでいたんだ?」


明らかになにかを疑っているような表情の彼に、不愉快な気分になった。
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