幸せにしたいのは君だけ
そうではなくて。

圭太さんの気持ちが怖い。

ずっと心の奥底で気になっていた。


結婚式の日の彼の切ない眼差し。

それは真っ直ぐに新婦へと向けられていた。


ふたりが幼馴染みだと知らなかったら、恋焦がれているのかと勘違いしてしまいそうになるくらいの気持ちがこもった眼差しだった。

満足そうで、でもどこか寂しそうな光が彼の目には宿っていた。

その光の意味を、いまだ私は知らない。


澪さんと圭太さんの間には、ふたりにしか理解できない絆と長い年月が存在している。

私はそこに割り込めない。


告白される前に、澪さんに向ける気持ちは恋愛感情ではない、と言われた。

それは本当なのだろうかと邪推してしまう私がいる。

今なら、圭太さんの存在を気にしているという副社長の気持ちが少しわかる気がする。


焼き鳥屋さんにいる時は好き勝手に想像できた。

煮え切らない、だなんてよくも言えたものだ。

今なら怖くて口にできない。



怖いもの知らずで勝気な私は、一体どこへ行ったの? 

いつもならズケズケと意見を、思いを口にできるのに。
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