幸せにしたいのは君だけ
恋をしたら、自分の知らない自分に出会うと聞いた覚えがある。

その時はたいして気にも留めていなかった。

でも今ならわかる。


私はこんなに弱かった? 

臆病だった? 

誰かの陰におびえるなんてありえないはずだったのに。


圭太さんは失恋がつらくて、負った傷が深くて。

だから“本気の恋”の相手を探していたんだろうか。

新しい恋をして澪さんを忘れるため、気持ちを吹っ切るために。


――そのために選ばれたのが私だったんだろうか。

私は――澪さんの身代わりなのだろうか。


そんな想いは口に出せない。

尋ねられない。

だって私は彼を失いたくない。


年明けに会って告白したいと思っていたのに、返事を聞くのが今は少し怖い。


拒絶されたらどうしよう? 

そんな弱気な考えばかりが浮かぶ。


早く新しい年が始まってくれたらいいのに、そう思っていたのに。

今はもう少し時間がゆっくり流れてほしいと思う私は本当に意気地なし。

そしてこんな自分が大嫌いだ。
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