紡ぐべき糸

12


ゴールデンウィークの前に 啓子は 久しぶりに 美穂と食事をした。
 

「啓ちゃん その髪型 似合うよ。」

と美穂は 褒めてくれた。
 

「本当?ありがとう。やっと最近 慣れたけど。切ってすぐは すごく 落ち着かなかったよ。」

と啓子は 笑顔で言う。
 

「啓ちゃん なんか 綺麗になったね。恋すると 綺麗になるって言うけど。本当だね。」

と笑顔で言う美穂に、
 

「失恋したのに?」

と啓子は 驚いた顔で言う。

美穂はクスクス笑って、
 

「失恋も恋だから。」

と言った。
 

「ねえ美穂ちゃん。私 フラれたけど 横山さんのこと 好きになって よかったと思っているんだ。」

啓子は 少し照れながら言う。
 

「いいな。啓ちゃん。そういう人に 出会えて。」

美穂は優しく言う。

啓子は頷いて、
 

「だからね いつか 横山さんが “ 俺、昔、あいつに告白されたんだ ” って 言えるような人になりたいって 思うの。」

と言う。美穂は 驚いた顔で 啓子を見て
 

「すごい。啓ちゃん 進歩している。だから 綺麗になったんだね。」

と言った。
 



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