紡ぐべき糸

「横山君 どこのホテルに 泊まるの?」

美咲は 聡を 送るつもりで 聞いてきた。

聡が ホテルの名前を言うと 美咲は頷く。
 

「美咲も来いよ。」

聡の言葉に 美咲は クスッと笑う。
 

「やっと 会えたんだよ。ねっ。」

美咲の目を 覗き込む聡に、
 

「横山君には 敵わないなあ。」

と美咲は笑った。


美咲に 許された喜びで 聡は微笑む。
 

「約束したじゃない。今度会ったら 美咲を お姫様抱っこ してあげるって。」


ホテルまでの道を 歩きながら 聡は 美咲を抱き寄せる。
 

「えー。あんなに お肉食べたのに。無理、無理。」

ケラケラ笑う美咲。
 

「駄目。絶対 抱き上げて 俺が 逞しくなったこと 証明するから。」

聡も笑う。
 

「持ち上がらなかったら 私、帰るよ。」

聡を睨んで言う美咲に、
 

「帰さないよ。任せて。」



と聡は言った。
 
 


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