恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

というかまずここが何処にある医院なのかすらわからないから判断が難しい。

こんな事ならカードだけじゃなくて普段からもっと現金を持ち歩いておくんだったと頭を抱える私に、砂川君が「相澤が今住んでる所って何処」と尋ねる。

「えっと…」

そう言って住所を答えると、砂川君は椅子から腰を上げ、白衣を脱いで近くのラックに掛けながら言った。

「結構ここから距離あるんだな。相澤、俺と車に乗るのは平気?」

「それは、大丈夫だけど…いや、でも悪いし、私頑張って一人で帰るよ」

「ここからタクシーだと結構かかるぞ。今そんなに手持ちあるのか?」

そう言われてグッと答えに詰まった。
"結構かかる"というのは具体的にはどれくらいだろう。いずれにせよたったの三千円だけでは胸を張って多額の手持ちがあるとは言えない。

…それに、男性ドライバーと密室になるタクシーでの移動は自分にとって何より苦手な移動手段だ。思い返せば、もう何年もタクシーを利用していない。

どうしようと思わず目を泳がせると、そんな私を見て砂川君がクスクスと笑った。

「俺の家もその近くでついでだから、そんなあからさまに遠慮するな」

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