恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
だから早くここから出ないと。・・・でもどうやって。
荷物を持ちここを出て行こうとしたならば、きっと止められるか、その理由を聞かれる。正直に話せば、きっと砂川君は私の事を心配してもっとここから私の事を出そうとはしないだろう。
きっと守ってくれようとする。それが分かっているから、なおさら本当の事を言う訳にはいかない。だからと言って何も言わずにここを出て行ったら、きっと酷く心配をかけてしまう。
「・・・どうしよう」
そう震える声で呟いた時、部屋をコンコンとノックする音が響いた。
楓さんだろうか。そういえば、砂川君が楓さんに私の部屋に朝食を運ぶように言ってくれると言っていた。そう思い病室のドアを開けると、そこに立っていたのは楓さんではなく、砂川君だった。
「大丈夫か?何か凄い音したけど・・・」
「あ、えっと」
そんな砂川君の言葉に、電話を受けた時にポールハンガーを倒してしまったのだと思い出してハッとする。
「ごめんなさい、うっかりポールハンガー倒しちゃって」
そう言って慌てて倒れたポールハンガーに駆寄り、それを起こした。
「どうやったらうっかり倒すんだよ」
急いでポールハンガーを起こす私を見て、砂川君が小さく吹き出した。