恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「ねぇ、その天津って男は、まだ沙和ちゃんがこのクリニックにいるって思ってるのかしら?」
「いや、それは無いと思う。沙和なら迷わずこのクリニックをでるだろうと踏んで脅しをかけたんだろうからな」
「…そっか、そうよね」
それなら私が囮になって、まんまと引き寄せられた天津をこのクリニックでとっちめてやる…なんて作戦は無駄だ。
だったら、だったらどうすれば。
「囮作戦でも考えていたのか?」
「…ばれてたか」
隼斗の言葉に小さく舌を出して笑ってみせた。
「天津を片付けない限り相澤はいつまでも安心して暮らせない。病気も良くはなってきたが、病気を引き起こした原因である存在がいつまでも沙和を脅かす以上、一定以上の回復は望めないように思う。居場所のつかめない天津をあぶりだす術は、今は当事者である沙和しかいないが…」
そんな事はとても出来ない。そう言うように、隼斗が唇を強く噛んだ。