恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
──次の診察の時に聞いておいでよ、私も恋愛できるようになりますかって。
──そして、その相手になって下さいって言っておきなさいよ。
砂川君に何か質問はあるかと聞かれ、会社での綾香の発言を思い出した。
「えっと、れ…れん…」
「ん?」
「れ、練習!えっと、既にクリアした筈の、不安階層表の項目の練習も、続けた方がいいの?」
「そうだな。無理にとは言わないが、一度出来るようになった事は継続して実践してみて…って、肩落としてどうした?」
「や、何でもないよ」
わかった、練習してみるねと笑って誤魔化す。
恋愛が出来るようになりますか…なんていう質問はやっぱり何だか恥ずかしくて出来なかった。
(ごめん綾香)
砂川君が私にとってのただの主治医ならそんな事は無かったのかもしれないけれど、やっぱり砂川君とは友達でもあるし。
──…それに、多分実践する事は難しいだろうからと不安階層表には書かなかったけれど、私が何より怖いとしている事は、"もう一度異性と恋愛をする"事だった。