恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
もしもあの時、きちんと誰かに相談が出来ていたら、何かが変わっていたかもしれない。
そんな後悔は、今でも私を締め付ける。
「でも、外に出るのは怖かったから…ある日、お姉ちゃんに、レンタルビデオ屋さんでかりていたCDを、仕事帰りにかわりに返して貰うように、頼んだの。その日の夜までに返さないと、延滞する事になっていたから。
そしたら、その夜、お姉ちゃんは家に帰ってこなくて、お、遅いねって皆んなで心配してたら、警察から電話があって…っ」
今でも耳に焼き付いている。
その電話をとったのは私だった。
「お、お姉ちゃんが刺されて亡くなったって…っ。 私のせいで。私が頼んだから、お姉ちゃんに。それで、お姉ちゃんを刺した男の家からは、
わ、私の写真が沢山出てきたってわかって。
お姉ちゃんは私なんかよりもずっと美人だったけど、それでも姉妹だから私とはよく似てて、体格もほぼ一緒で、だから、お姉ちゃんは、あの夜、私の身代わりになって、私のストーカーに、私だと間違えられて、刺されて…」
──あなたの身代わりになってお姉ちゃんはこんな事になったのよ。
事情聴取の内容を警察から聞き、泣きながら取り乱す母にそう責められ、私は何も言葉を返せなかった。
優しかった天津先輩も、お姉ちゃんが亡くなってからまるで人が変わったように口数が減り、日に日に顔つきが鋭くなっていった。