恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
鼻の奥がツンとして、一瞬張り詰めていた糸が緩む。唇を噛んで、思わず泣き出してしまいそうになるのを堪えた。
「ありがとう、砂川君」
ずっと…ずっと私が欲しかった言葉だと思った。
それを今砂川君がくれた。
ずっと誰かに私のせいじゃないと否定して欲しかった。砂川君の言葉は嬉しい。
でも、それは正解じゃない。
──沙菜を殺したのはお前だ。
違う。違わない。違う。違わない。
ぐちゃぐちゃな矛盾を抱えながら、何度も何度もお姉ちゃんの体に自分の手でナイフを突き刺して殺す夢を見た。
あの日、私がお姉ちゃんにレンタルビデオ屋さんにかわりに行って貰わなければ、お姉ちゃんは殺されてなかった。
それは、私がお姉ちゃんを殺した事と一緒なのだ。
過去に戻れたら、絶対に頼むなと忠告できるのに。お姉ちゃんを失うくらいなら、一生延滞料金を払い続ける事になったって構わないのに。
あ な た の せ い よ 。
「ぁ…」
お母さんにかけられた言葉が脳裏に蘇り、また息がつまりそうになる。
(私、またこんな…しっかりして)
目をきゅっとつぶり、落ち着いてと無理矢理自分に言い聞かせて平静を取り戻す。