恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「海里の馬鹿っ」
そう言いながら顔を白くして肩で息をする沙和の腕を自分の首に回して立ち上がらせ、適当な階でエレベーターから降りた。
エレベーターから出て少しあるき、廊下の突き当たりにある共用のソファーに沙和を座らせる。
「沙和ごめんね、もう大丈夫だから。…沙和?」
沙和が体をガクガクと震わせ、頭を両手で抱え、顔を歪める。
エレベーターの中よりもずっと辛そうな沙和の様子に目を見張った。
「あ…ぁ…ご、ごめんなさい…やめて…」
「沙和…?もう大丈夫だからしっかりして、落ち着いて!」
荒い呼吸の合間にごめんなさいとうつろに繰り返す沙和に、自分の頭まで真っ白になる。
沙和には、自分の言葉がまるで聞こえていないようだった。
───…初めて見る。これが沙和の病気の症状…?