恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
ボタンを押して画面を立ち上げる。
セキュリティに関しては無頓着な沙和の事だ。きっとパスワードも自分の誕生日か数字の羅列か何かだろうと駄目元で沙和の誕生日を打ち込むと、どうやら本当にパスワードは沙和の誕生日だったようで、ロックが外れた。
今だけは沙和の無防備さに感謝しながら電話帳を開き、”砂川”と検索をかけた。
意外にも”砂川君”ではなく”砂川先生”と登録された連絡先が表示され、間違いないだろうと急いで電話を繋げてスマホを耳に当てる。
(お願い、出て)
そう思わずぎゅっと目をつむると、受話器の向こうの声が3コール目で応えた。
『もしもし、相澤?』
──繋がった!
電話が繋がった事に胸をほっと撫で下ろした後、急いで状況を説明した。
自分が沙和の同僚である事。沙和がエレベーターで迫られ手を掴まれ体調を悪くし、興奮状態にあること。今日は異常に現実エクスポージャーの治療に積極的だった事。