恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
『そう、偉いな。じゃあ今からは自分のペースで、呼吸再調整法で呼吸できるか?』
「うん…」
沙和はそう小さく返事をすると、時々会社の休み時間に1人でよくやっている、深呼吸とはまた少し違うような呼吸をゆっくり繰り返した。
それを3回ほど繰り返した時、沙和の体の震えはぴったりと止った。
沙和の呼吸と顔色が元通りになったのを確認して、そっと背中から手を離す。
(…良かった)
「砂川君、綾香、ありがとう。…迷惑かけてごめんなさい」
目に涙をためてそう告げられた沙和の言葉に、私は胸を撫で下ろして首を横に振った。
私1人じゃ何もしてあげられなかった。