恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】


──もう大丈夫だからしっかりして、落ち着いて!

専門家で医者である砂川君と同じように自分が出来る筈がなかったと分かってはいても、それでも私が最初に沙和に掛けた言葉を思い出して情けなくなる。

そう声を掛ける立場の人間が落ち着いていなければ、相手を落ち着かせてあげる事なんて出来ないのだ。

『もう苦しくないか?』

「うん、もう大丈夫」

『良かった』

「ありがとう、砂川君」

『…うん。じゃあ、どうして今日は無理して現実エクスポージャーの課題を一気にやってたのか聞いてもいい?』

「えっ」

そんな砂川君の問いかけに、沙和がぐっと喉を詰まらせたのが分かった。

「えっと、それは…その…」
『相澤?』

そう念を押すように砂川君に名前を呼ばれても、沙和は口ごもったままだ。

(沙和…?)
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