恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】


「り、理由は無いよ。今日は出来そうな気がしただけ」

やっと口を開いたかと思えばこれだった。

『へぇ』

砂川君が一拍おいて、含みを持った声でそう返す。
沙和は嘘が上手くない。何か理由があるのだろうという事は私にでさえバレバレだった。

『前にも言ったけど、無理をするのは良くないからな。焦らずに、ゆっくり治していけばいい』

砂川君も勿論沙和の嘘に気づいていたのだろうが、少しだけ低い声でそう注意しただけで、それ以上沙和を問い詰めはしなかった。






「…綾香、本当にありがとう」

砂川先生との通話を終えると、沙和は改まったように私に向き直り、そう言って頭を下げた。
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