虹色アゲハ
そんな夜…
平日にもかかわらず、久保井が閉店30分前にやってきた。

そのためナンバーワンの指名席も、他に1つしかなく。
その席ももうすぐ終わるため、揚羽がつくのは最初の10分ほどだった。


「あ、ウーロンでいいよ。
車だから」

「…何しに来たワケ?」

「そんな事言うっ?
近くに用があったから、ちょっとでも会いたかったのに」

「ありがと。
私も会いたかったわよ?」
にっこり笑顔を貼り付けると。

「うわ、嘘くさっ。
電話番号教えても全然連絡くれないし…
俺の事落とす気あるっ?」

「あるわよ?
だからこそ、私の事好きになりかけてるんでしょ?
そっちこそ、あれ嘘だったの?」

すると久保井はくしゃっと吹き出す。


「流石だね、揚羽ちゃん。
会うたび惹かれるよ。
もっと一緒にいたいんだけど…
アフター行かない?」

「下手な誘い方ね。
まぁせっかくだし、私ももう少し話したいとこだけど…
ごめんね?先約があるの」

「いいよ、待っとく。
俺の車でドライブでもしよ?」
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